九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、2023年11月5日(日)に「第27回海辺の教室in福岡・糸島~漂着する不思議、ハマボウの紅葉を楽しみながら~」を開催いたしました。
ハイビスカスの仲間であるハマボウは、温帯のマングローブとも言えます。夏に一斉に黄色い花を咲かせ、秋には見事な紅葉を見ることができます。河口域で枝を離れて水面に落ちた後に漂流し、川だけでなく海へも旅立って行きます。この種子の特性によって、分布が泉川の汽水域では見事な群落が形成され、住民の手で保全されています。今回は、秋のハマボウ紅葉を市民の皆さまと一緒に楽しみながら学ぶことができました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
開催概要
泉川河川敷に群生する糸島市のシンボル、ハマボウの紅葉を見ながら、護岸機能や漂着する種の不思議とその生態を学びます。
日程
2023年11月5日(日)9時30分~11時30分
開催場所
糸島市新田 ハマボウ群落
参加人数
子ども3名、大人2名 地域の方3人 合計8名
講師
平野照実(福岡県緑化功労者)
協力
泉川はまぼうの会
後援
糸島市・糸島市教育委員会
イベントレポート
温帯のマングローブと呼ばれるハマボウの不思議
ハマボウは夏に一斉に黄色い花を咲かせ、秋には見事な紅葉を見ることができます。
講師に平野照実さんをお迎えし、その生態を伺いながら約1.7㎞の群落を歩きながらお話しを伺いました。
ハマボウは温帯のマングローブと言われます。熱帯や亜熱帯の汽水域や、波の静かな場所に生育します。ハマボウの葉の裏には綿毛がたくさんついています。だから葉の裏は白い色をしています。紅葉は錦色で赤色と黄色に変わります。葉も冬支度に入るのですね。
ハマボウは世界的に見ると奄美大島から上の地域にしかありません。ですから奄美大島が発祥の地となっているのかもしれません。奄美大島から黒潮と対馬暖流に乗って広がったと思われます。種は水に浮く性質をもっており水面に浮き川から海へ旅をします。
今回の観察会で干潮時を選んだのは、根の部分が露出し一斉に並んでいるところを見ることができることと、川と海が出会う汽水域に生息するのは落下型の種が満潮時に水の一番高い所に付着し、そこへ根を降ろすからです。
ハマボウ群落の道路沿いを歩きながら色々な物に興味津々の子どもたち
およそ1.7㎞のハマボウ群落を歩いている途中、平野照実さんは植物にお詳しく色々な植物の名前やその由来、食べられることなども教えてくださいました。ユメナ、アキグミ、ツルウメモドキ、イヌビワ、アカメガシバ、タチスズメノキ、イヌビワの実、ネムノキ、クズ、キツネノマゴ、アカメガシワ、イヌタデ、ママコノシリヌグイ、ツルメモドキなどなど。道端にいた大きなカマキリは大人気でした。
泉川はまぼうの会の活動
1997年に発足し26年にわたり活動を続けてきました。会員のお一人が「小さい頃はツバメとナマズ、ライギョを捕まえて遊んでいたが、護岸工事などで川が変わっていった事が悲しく活動を始めました。
当初はこの辺はハマボウも生い茂りたくさんのごみがありました。バイクや冷蔵庫などの大型のごみの不法投棄もありました。それを撤去し定期的に清掃を行うことにより環境が改善されていきました。
2010年に糸島市が、前原市と志摩町、二丈町の一市二町合併により10万人都市となり、市の花としてハマボウが選ばれました。現在会員は14~15名です。
20周年までは、し尿処理センターの施設内でイベントを行っていましたが会員の減少に伴い、活動を縮小してもごみ拾い活動は続けたい」とお話しくださいました。
この活動によりごみを捨てる人が少なくなってきたと同時に糸島市のPRにより「海の魅力、川の魅力、山の魅力」として糸島市は有名になりました。その背景には大きく目立たなくとも、小さな活動であっても自分たちが住む町を大切に思う気持ちがあるからなのではないでしょうか。
糸島市の加布羅橋から弁天橋までの自然環境を「屋根のない博物館」と呼び、そこに静かに生息しているクロツラヘラサギ、カブトガニ、ハマボウの生息環境を守り後世に伝えたいという思いを感じました。
参加者の声
・色々な植物の名前を知ることができて楽しかった。
・子どもと一緒に勉強になりました。
・このような機会でもないと普段は来ないのでまたイベントをしてほしい。
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