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2020/12/15
2020/12/15

【2020/12/13】第4回海辺の教室 川と海のつながりで【ゴミ】を考えてみよう!

イベント概要

2020年12月13日、第4回海辺の教室を開催しました。今回は「川と海とのつながりから【ゴミ】を考えてみよう」というこれまでより広い視点のタイトルとし、日頃から生活のゴミ問題解決に興味をもつ城南高校の学生とともに、川の上流と河口の双方で調査活動を取り組み、未来に向けた考察とディスカッションを行うことを目的に実施しました。

実施日時:2020年12月13日(日)
催事名:九州大学うみつなぎプロジェクト 第4回 海辺の教室 川と海のつながりで【ゴミ】を考えてみよう!
内容:第1部 10:30~11:15 樋井川中流域での川ゴミ調査と清掃活動(福岡市南区柏原)
   第2部 13:00~14:15 ももち浜での海ごみ調査と清掃活動(福岡市中央区百道2丁目エリア)および
              埋立前の博多湾と海ごみについてのミニ講座
   第3部 15:15~17:00 福岡市のゴミの現状についての講座及び本日の振り返りディスカッション
全体進行:九州大学 清野 聡子准教授
第2部講師:百道で育ち昔の海辺を知る山永順一氏、海ごみラボ 代表 木下英生さん
第3部講師:福岡大学 渡辺亮一教授
ゲスト:ペイントクリエーター しばたみなみ氏
会場:九大西新プラザ会議室(福岡市中央区西新)
参加者:城南高校生(福岡市)4名、北九州大学生1名、うみつなぎプロジェクトメンバー7名

第1部 川掃除体験から川ゴミを考える

学生の活動エリアである福岡市南区柏原付近は、住宅街の中を樋井川が流れています。その中流から活動を始めました。樋井川は福岡・油山を水源とし、百道の海岸まで流れていく長さ約13kmの二級河川です。南区や早良区の住宅地や市街地を流れ、福岡市民にとっても身近な川の一つです。 第1部では樋井川のゴミが溜まっている様子や種類を観察しました。

このエリアの樋井川は住宅地に切り立った護岸の水路のため、急な階段を注意しながら下りて、川底に下りました。
水はゆっくりと流れ、川原は水辺の植物のツルヨシで覆われていました。 草むらや川を地形や生態系の話を聞きながら移動しました。


川原を移動する様子

清掃活動の様子
水生植物や川岸の構造を説明する清野准教授

清野准教授の講義様子をうみつなぎふくおかの公式FacebookページからLIVEでも配信しました。

公式FacebookページのLIVEの様子

水辺は一見きれいでしたが、学生の体験談通り、草むらや川底からたくさんのゴミが発見されました。ゴミは、空缶や菓子袋、パッケージ、レジ袋、秋の台風の影響と思われる家屋の廃材、自転車の泥除けパーツなど、生活で使う身近なものばかりでした。およそ100mの範囲を歩き、約30分でゴミ袋3袋が一杯となりました。また、建材のプラスチック波板も回収しました。

回収したゴミの様子
清掃の様子
川の様子:ゴミが埋もれていました
清掃の様子:袋に入らないゴミも見つかりました
川の様子:ゴミは草の中にも絡まっていました

第2部 河口へ!海へ!

午後からは、樋井川が博多湾へ注ぎ込む河口のあるももち浜(福岡市中央区百道2丁目エリア)へ移動しました。清掃活動の前に、百道で育ち昔の海辺を知る山永順一さんと、福岡市東区を中心に活動を行う「海ごみラボ」の木下英生さんの2人から貴重な海の話を伺いました。山永さんからは、埋め立て前は校庭から砂浜を抜けて海で遊べたというエピソードを、 木下さんからは、清掃活動を行う中で、他エリアの海ゴミが集まることや海ゴミの特徴などを教わりました。 

山永順一さんの様子
砂浜に埋もれているマイクロプラスチックの検証
砂に埋もれたゴミ:表面がきれいでも砂の中には多く見かけます
木下英生さんの様子
砂浜にうもれているマイクロプラスチックの検証
砂に埋もれたゴミ

第3部 振り返りとディスカッション

最後の第3部では、九大西新プラザ会議室(福岡市中央区西新)で清野准教授の進行で、ディスカッションを行いました。

話題提供として、樋井川の研究をされてきた福岡大学・渡辺亮一教授より、 川ゴミの詳しい調査研究について教えていただきました。現在も研究室の学生と一緒に川ゴミ清掃をされています。 生活、食品、レジ袋も調べた結果からは、川ゴミが生活している一人一人の問題であることがわかってきました。教授が研究を始めて10年経った今でも、川ゴミがなかなか減っていません。ゴミ問題には、社会の関心が集まっているのに「どうしてだろう」と参加者全員で話し合いました。また、ペイントクリエーターで、海ゴミアーティストのしばたみなみさんより、 福岡市のゴミの状況や世界の海でプラスチックゴミがどのように海を漂っているのかを学び、 それぞれが感じたことの意見交換しました。

福岡大学渡辺教授の話題提供
清野准教授による振り返りの様子
しばたみなみさんの講座
清野准教授による振り返りの様子

参加者からの主な感想
 ・映像と資料でしか知らなかった海ゴミの問題を知れたことはとても大きい経験でした。
 ・今日の活動をした自分たちがこれから引っ張っていかなくてはいけないと感じました。

九州大学清野准教授による総括
 ・拾ってもゴミが減らない事実を認めつつ、継続して活動すべきだと感じました。
 ・今日の体験から自分で世の中を変えられる人になりたいと強く思いました。
 ・川と海のゴミの違いを知れました。
 ・情報を発信することの大切さを学びました。

さらに、こんな感想を頂きました。
 ・個人の体験と感想がきっかけで周りの人たちへも良い影響が広がっていくと嬉しいですね。

川から海という大きながれをひとつに捉えての調査では、「全てがつながっている」ということの再認識に加え沢山の新しい発見や気づきがありました。

少人数ゆえの濃厚な体験と学びを共有した高校生たちの本音が飛び交うディスカッションは素晴らしいものでした。持続可能な社会の実現には今日のように次世代を担う方々とのコラボレーションが とても重要なことを改めて感じた海辺の教室の一日となりました。

活動の様子は公式ホームページで動画を配信予定です。