九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、早稲田佐賀高等学校サスティナ部の生徒対象に、”海洋ごみ問題”についての理解を深め、行動変容について考えるきっかけを生み出すことを目的に、2024年12月8日(日)に、『海辺の教室 in 佐賀・唐津 早稲田佐賀高等学校サスティナ部 × 九州大学うみつなぎ キックオフ!ビーチクリーン!』を開催いたしました。
佐賀県では、令和8年度を目標に『世界海洋プラスチックセンター(仮称)』の唐津市波戸岬での開設計画(https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003108571/index.html)が進められており、海洋プラスチック問題を地域から世界につながる解決を目指しています。
そんな機運が高まる中、佐賀県環境部様より早稲田佐賀高等学校が今年度から”サスティナ部”を発足し、新たな取り組みを始められたとご紹介をいただき、今回のイベントを開催する運びとなりました。
イベントの当日は、佐賀県県民環境部脱炭素社会推進課や、唐津市市民環境部環境課カーボンニュートラル推進係からも職員が駆けつけて下さり、高校生の活動を暖かく見守ってくださりました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。
イベント概要
開催概要
早稲田佐賀高等学校サスティナ部の生徒対象に、フィールドワーク・座学・考察を通して海洋ごみについての理解を深めるための勉強会を開催し、サスティナ部としてのこれからの活動のヒントや行動変容を紡ぎ出す。
日時
2024年12月8日(日)10時~15時
場所
西の浜(フィールドワーク)、早稲田佐賀高等学校(座学)
参加者
24人
協力
早稲田佐賀高等学校(https://www.wasedasaga.jp/)
佐賀県 県民環境部 脱炭素社会推進課(https://www.pref.saga.lg.jp/list00017.html)
唐津市 市民環境部 環境課 カーボンニュートラル推進係 (https://www.city.karatsu.lg.jp/top.html)
イベントレポート
【フィールドワーク】唐津城の眼下に広がる西の浜でビーチクリーン!
佐賀県唐津市にある市内6か所の海岸では海岸ごみを回収するための“拾い箱”が設置され、有志の方々の手によって日常的に海岸清掃が行われています。
(https://www.city.karatsu.lg.jp/seikatsu-kankyou/kankyou/hiroibako.html)
今回のフィールドワークの会場である西の浜でも拾い箱が設置され、イベント当日の朝も市民の手によって海岸清掃が行われていました。
一見ごみのない綺麗な海岸に見えますが、目を凝らしてみてみると自然物に絡みつくようにビニールなどの細かなごみが散見されます。生徒たちは太い木の枝を拾い上げ、海岸に積もった葦などの堆積物から丁寧に人工ごみを掻き出します。わずか45分ほどの作業でしたが、次々に隠れているごみを見つけ出し、1袋分の海岸ごみを集めることができました。
時折、冷たい冬の風が吹き込む厳しいコンディションでしたが、テスト期間を終えたばかりの生徒たちは、寒さをものともせず、元気いっぱいで開放的な笑顔がとても印象的でした。
【座学】ただ拾うだけでは終わらない、行動変容のための考察。
午後の部は、早稲田佐賀高等学校の施設をお借りして「海洋ごみ問題」をテーマに座学を行いました。
九州大学うみつなぎのスタッフ、田村と木下から「海洋ごみ問題についての基本概要」と「海洋ごみを発生源から抑えていくための取り組み、海岸ごみプロファイリング」についての解説を行い、九州大学うみつなぎ統括プロデューサーである清野聡子(九州大学工学研究院准教授)からは「SDGsの概要と、自身が見てきた離島の海岸ごみの痛ましい現状」について紹介がされました。
講義の後には、ブルーシートの上に広げられた西の浜の海岸ごみを改めて観察し、生徒たちは「こんなにもビニールの切れ端が多いとは思ってもいなかった。」「海岸に流れ着いたガラス瓶は全部どれも蓋が閉まっているが、蓋のないものは海底に沈んでいるのだろう。」など、様々な発見をしました。
海岸でのごみ拾いはとても大切なことですが、ただ拾うだけに留まらず、改めて観察することによって新しい気づきや、そこから導き出されるごみの発生抑止などの考察が得られることを体験しました。
昼食をはさんだ長丁場のイベントでしたが、生徒たちは最後まで集中力が途切れることがなく、積極的に質問や意見が飛び交う活発で良い勉強会となりました。
生徒からの感想
今回のイベントを終えて、サスティナ部顧問の平野佐矢子先生より18名分のご感想をお預かりいたしました。どの感想も私たちの胸を打つ心のこもった内容でしたが、3名の感想を抜粋してご紹介させていただきます。
前に砂浜に行ったときは綺麗に見えていたので、ごみ拾いをすると聞いてあまりごみが無さそうだと思っていましたが、実際に拾ってみると思っていたより沢山あることが分かりました。ごみ拾いをするくらいの意識でないと、ごみが目に入っていなかったことに気づかされました。やはり話を聞くだけでなく実際に自分で体験することは大事なんだと思いました。また、大人だけでなく私たち高校生が活動する意義も知ることができ、これからもっと環境問題について考えていきたいと思いました。(武田 薫さん)
今回は貴重な機会をありがとうございました。 お話にもあったように海岸に流れ着く海洋ごみは全体の約5%、海面には約1%、海底には約94%であるということに衝撃を受けました。また、そのような大量の海洋ごみを減らすために海岸のごみを拾うだけではなく、流れてしまう原因を考えることやプロファイリングをする大切さを知りました。 そして、拾ったごみをリサイクルして再びごみ袋として活用したり、ほぼ100%のリサイクルしたごみで作ったボールペンなどリサイクルをして無駄なく活用をしていることをしり、それも今後のサスティナ部の活動で活かせていければと思っています。(志関 真央さん)
今まで海のごみ拾いをしたことがなく、とても貴重な経験でした。東京にいる時は海に行くことも少なく、海のごみについて何も知りませんでしたが、今回の体験で今までニュースで見ていたことが実際にあることを実感しました。ごみ拾いをするだけでなく、実際に拾ったごみを広げてみて観察することでどんなごみがどのくらいあるなど視覚的にわかりやすかったです。また、そのごみが海に流されたごみなのかそれとも、陸から来ているごみなのか、どのようにやってきているのかの過程を考えてプロファイリングしていきどのようにすればごみが出なくなるのか考えるのがとても楽しかったです。講義もとても面白く興味深いものが多かったです。今回の活動は早稲田佐賀のサスティナ部だけではここまで良いものにはならなかったし、九州大学の人たちおかげでとてもいい経験になり、色んな団体や人と連携することで理解や興味がより深まることを知りました。(藤田 翔音さん)
<団体概要>
団体名 :九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センター
URL :https://umitsunagi.jp/
活動内容 :九州大学うみつなぎは、中高生に対する海洋教育を通じて国際的に活動できる「海の精鋭」を育成する活動を行っています。日本財団 海と日本プロジェクトの補助事業として、九州大学が主催し、九州を中心とした各学校・関連団体・沿岸地域との協力体制を築きつつあります。「海の総合知」を目指し、特に海洋ごみ問題に積極的に携わり、地域から国内、国際をつなげています。磯焼け、漂着生物、海洋地形もテーマです。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/
<お問い合わせ先>
団体名:九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センター
担当者:木下・清野
電話番号:092-802-3437(九州大学生態工学研究室)
メールアドレス:contact@umitsunagi.jp
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