REPORT
2022/10/10
2022/10/10

【2022/10/8】第9回 海辺の教室 in 熊本・八代

球磨川河口干潟で生きものや文化を学ぼう!

九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、次世代のためにがんばろ会とエコユースのメンバーでもある八代高等学校の生徒さんや小学生とその保護者の方、地域の住民でご高齢の方まで幅広い年代の方、併せて延べ35名の参加のもと、2022年10日8日に球磨川河口の生きものや文化を学ぶことを目的として、海辺の教室in熊本・八代を開催いたしました。 このイベントは、次世代へ海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要

・開催概要 球磨川河口干潟に生息する生きものや文化を学び、生きもの観察を行います。
・日  程 2022年10月8日
・開催場所 熊本県八代市球磨川、水島周辺
・参加人数 延べ35名
・共催 次世代のためにがんばろ会 ・協力 八代市役所、河川情報センター

八代球磨川の歴史や水産、生態系のお話し                                 

まず最初に、清野聡子准教授より「熊本県八代市球磨川河口干潟では、希少生物が生息し、恵まれた環境を活かした水産業で知られています。」という挨拶をいただき、干潟を観察する前には八代市役所の職員の方からその特徴などをお話しいただきました。

続いて、八代市役所文化振興課の村田仁志氏より、球磨川河口の歴史について、 「球磨川はもっと内陸の方まで河口がありました。八代は昔から海との関わりが強く交易が行われてきました。その証として干拓される前は島だった所には古墳があります。今回会場となる水島は、景行天皇が訪れた際の水島の名前の由来となったことが日本書記には記されており、また万葉集には歌が残されています。そのようなことから、水島は干拓の計画もありましたが、島として残されたことは文化財保護の先駆けといえます。自然が作っている景観などを名勝といい地域の人により守り続けられてきました。」とお話しいただきました。

 次に、八代市水産林課の亀井真由美氏から、「球磨川は山から水が流れてきており、栄養分を沢山含んでいるので食べ物がとても美味しいです。八代では、アナジャコやすじ青のりが有名です。シャコ漁は、筆を巣穴の中に入れると、敵が進入して来たと思い追い出そうとして上がってきた所を捕まえるという自然に優しく持続的な漁業に繋がる漁法や、主要な水産物であったアサリは様々な要因で水揚げが急減したため、漁師さんが資源の回収に取り組んでいます。」と言われました。 

 八代市環境課の中川順一氏からは、干潟に生息する生きもののお話しをしてくださいました。「干潟に住む生きものは、汽水域で生息するために陸上でも水中でも適応しなければならない性質を持っています。その中でも、ハマグリやハイガイは絶滅危惧種になっており、最近ではその姿をあまり見なくなりました。植物も同様で、植物にとって厳しい環境の中で適応し、生きものの隠れ家になったりしています。生きものもさる事ながら、漁業の後継者も減少し将来的に地元の水産物が捕れなくなることを懸念しています。ここ水島には、様々な生きものが生息し、その生きものを求めて多くの渡り鳥が飛来しています。」

 「さあそれでは、生きもののスペシャリストである中川さんにお聞きしながら干潟の生きものを観察してみましょう。」と清野聡子准教授の言葉から観察がはじまりました。  観察の最後には、一般財団法人河川情報センター、福岡センター長から、手作りの模型を使って干潟の仕組みを説明していただきました。粘土を用いて海と陸を隔てる河口堰の開門の様子を教えてくださいました。地元の人も知らなかった多くのことを学びました。

午前9時、天候に不安が残る中で野北海岸に集合しました。中高生はマイクロバスで集合し、受付で検温及び消毒を行いました。スタッフは全員抗原検査を行い、感染症対策を万全に施したうえで開会式を執り行いました。開会式では今回の目的、及びToiToi代表の山下浩典氏による参加者の紹介を行いました。

干潟観察の様子                                

  観察会には八代高等学校の生徒さんや、小学生、未就学児が参加しました。

小学生の男子児童は、紙コップを使って生きものを捕まえていました。手で抑え込むのではなく、一瞬で捕まえる優しいアイディアを見せてくれました。また、虫取り用くらいの大きさの網を使用して捕まえたトビハゼをみんなで観察しました。お母さんたちは、今日はたまたま来たけれど偶然にも他に参加している数名のお母さんが同級生だったことから、まるで同窓会みたいだと思いがけずこの観察会が交流の場になったことを喜んでいました。高校生の生徒さんは、人が動くと逃げてしまう性質のカニを見るために、しゃがみ込みカニが出てくる様子を見るためにじっと待ちました。勢い高じて干潟の中に入って抜けられなくなってしまい、干潟で遊ぶ醍醐味を見せてくれとても微笑ましい様子でした。

参加した子ども・保護者からの声                         

・普段見ない生きものを捕まえられたから楽しかった。(8才、男子)
・八代に住んでから7年めになりますが、まだまだ知らないことが多いと感じました。教員で物理専攻だが専門以外のこともけっこう楽しめたと思います。(高校教員)
・講師の先生方から海に対する愛が伝わってきたので自分たちもそれに応えようと思いました。(高校2年 生、男子)
・海に生息する生物を保護・研究をしたいと思います。(高校1年生、男子)
・もっと干潟の生きものについて調べたいと思い、詳しく知れたとを部活動に役立てようと思いました。(高校1年生、男子)
・八代の水産物についてもっと知りたいと思いました。(高校1年生、女子)
・海を守る行動をしたいと思い、海を好きになり地元の海産物を積極的に食べようと思いました。(高校2 年生、女子)
・水島の神社には何回か来た事はありますが、海岸におりたのは初めてでいろんな勉強をすることが出来て本当に為になりました。(70代、男性)
・親子で参加し、自然の生態系を守っていく取り組みをして行きたい。(30代、女性)