REPORT
2024/08/23
2024/08/23

【2024年8月20日】第37回 海辺の教室 in 福岡・宗像『海辺の宝探し鑑定団 in 海の道むなかた館』を開催しました!

九州大学大学院工学研究院附属環境工学研究教育センターは、身近な海辺に流れ着く漂着物を“宝探し”の感覚で観察する経験を通して、未知のものを探究することの楽しさを実感してもらい、海の現状や課題、環境保全の大切さを考えるきっかけになることを目的に、2024年8月20日(火)に、第37回 海辺の教室 in 福岡・宗像『海辺の宝探し鑑定団 in 海の道むなかた館』を開催いたしました。

2024年8月7日(水)に開催した第1回(https://umitsunagi.jp/report/2147)に引き続き、海岸で拾った漂着物を海の道むなかた館にお持ちいただいた方を対象に、九州大学うみつなぎ統括プロデューサーの清野聡子准教授や、海の道むなかた館の学芸員の岡崇様、九州大学うみつなぎの木下英生テクニカルスタッフらが漂着物の鑑定を行いました。

8月9日に開催しました前回の鑑定会はテレビや新聞などで取り上げていただき、その反響を受け、今回のイベントでは、前回の2倍となる43人の方から87点の漂着物をお持ち込みいただきました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要

開催概要

海の道むなかた館の夏の特別展示「漂着物から学ぶアジアの文化・環境展」の関連イベントとして、持ち込まれた漂着物や貝殻を鑑定員が鑑定を行い、イベントオリジナルの鑑定書を発行する。

日程

2024年8月20日(火)10時~16時

開催場所

海の道むなかた館(宗像市)

参加人数

43人

鑑定者

岡 崇(宗像市世界遺産課主査・海の道むなかた館)
清野 聡子(九州大学准教授・九州大学うみつなぎ統括プロデューサー)
木下 英生(九州大学工学研究院テクニカルスタッフ・九州大学うみつなぎ)

共催

宗像市教育部世界遺産課

協力

宗像市教育部図書課

イベントレポート

大反響!漂着物鑑定会2日目!

前回のイベントの反響を受け、開始時刻から途切れることなくたくさんの方が会場にお見えになりました。

このイベントを心待ちにしていたかのように、10数年間大事に保管していたものや、旅行先の想い出が詰まった物など、まさにお宝としていた漂着物をいくつも拝見させていただきました。

鑑定会ではただ鑑定するだけではなく、貝殻であればその貝の生態や特徴、見分け方や名前の由来などを解説し、デジタル顕微鏡を使っての観察や、関連図書の紹介などを行い、これを機により興味を深めていただける場づくりに努めました。

今回の鑑定会では、自然物だけではなく、プラスチック製の人工物も多く見受けられ、海洋プラスチックごみへの関心の高まりを垣間見る場面もありました。

ご参加いただいたご家族からは、「前回の鑑定会をきっかけに、家族で漂着物を探すのにすっかりハマってしまい、また来させていただきました。これからも定期的に鑑定会を開催して欲しい!」「鑑定書をもらえると子どもたちが漂着物の名前を忘れないので助かります!」との嬉しいお言葉をいただくことができました。

行政との連携・宗像市との海洋教育の歩み

九州大学うみつなぎでは、ビーチクリーンに参加した方々が、海岸を楽しむこともなく、清掃が終わるとすぐに帰ってしまう人が多いのが残念でした。そのため2年前からは、意識的に、ビーチコーミングも普及させる試行錯誤を進めました。宗像市の方々とも、清掃後の海岸で、今度はプラスチック破片以外の物にも注目して、多角的に楽しんでいただける機会をもっとつくっていきましょうと話し合いました。

開催場所の「海の道むなかた館」とは、眠っていた貝殻資料の再整理を行い、同施設にて常設的に貝殻の標本を展示する運びとなりましたが、漂着した貝殻を実物標本と比較することで、理解が深まるのも体験していただくことが出来ました。博物館標本の整理は、とても地味で時間がかかる作業ですが、地域の自然を知るためにも大切なことだと関係者一同が思いを新たにしました。

常設展示にも、考古学、歴史学、民俗学の貝殻標本があります。陶器片の判別は難易度が高いのですが、歴史に詳しい市職員の岡崇氏に助けていただきました。

現在の漂着物をじっくり観察することで、過去の海と人とのつながりを多分野の観点から発見できるのにも気づきました。このイベントを通じて、漂着物はさまざまな視点から楽しみ、学ぶことができるのを再認識しました。