2023年8月10日に、九州大学 にて開催された海の学びステップアップの発表です。
発表者:九州大学 工学系国際化推進室 准教授 田村美香先生
発表要旨
私の専門は工学ではなく、比較社会文化ということで、異文化理解や国際教育を専門としています。九州大学には工学部と農学部に英語だけで学位をとる学士課程国際コースというプログラムがあり、アジアを中心に20カ国以上から100人以上の留学生が集まっています。今回ご紹介するのは国際協働キャップストーン科目というもので、キャップストーンというのはピラミッドの頂上に置く石のことで、教育では特にチャレンジングな取り組みをキャップストーンプログラムといいます。基幹教育を修了した留学生と日本人学生を対象とした1.5年間のプログラムで、農工連携国際共修演習や農工連携フィールドワークなどで10単位を取得することによって終了証を得ることが可能です。
農工連携国際共修演習の内容としては、農工学部の留学生と日本人学生がチームとなり、SDGsを意識した課題設定、およびその解決に向けた行動計画、解決策の提案まで、一連のプロセスをチームでの対話と協働を通して取り組む「経験学習」を行うという経験学習となっています。ここで重要なのは、自分たちだけでなく、地域のステークスホルダーや国際機関の専門家の協力を得るということです。
私は海ごみの問題を担当しているのですが、環境問題は複雑な状況が背景にあり、それらを考慮し、問題解決をするシステム思考と、実際に足を運んで経験をし、それを振り返ったり、話し合ったりする経験学習を重視しています。
今回お話するフィールドワークは、壱岐で海洋ゴミの問題について考えるということで、16名の留学生が参加しました。事前に3回ビデオ講義を見て、そのうえで現地学習として、壱岐ボランツーリズムへ参加しました。これには清野先生にご紹介いただいてからずっと参加しているのですが、何とか授業化できないかということで取り組み、今回正式な授業として設置されました。今回は豪雨の関係で交流会からの参加となりましたが、現地の高校生や他大学の学生とグループディスカッションなどを行うことができました。
終了後の学生のレポートでは、「この経験は人間性と私たちの責任について教えてくれた」「文化や言語の境界が互いに協力しようとする際の障害であってはならず、このような同様の目標が私たち全員を結びつけることができることを学んだ」といった感想がありました。
今回は留学生16名が参加しましたが、ただ行って終わりではなく、最後に発表するということで学生にとって大きな学びになったと思います。これは途中段階で、学生たちはこれから森林の課題についてもフィールドワークに行って、最後は海ごみか森林を選んで、自分たちなりの解決策を発表する予定です。
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