REPORT
2023/09/04
2023/09/04

活動の歴史とうみつなぎとのあゆみ。 作品に込める思いとこれから(しばたみなみ氏)|海の学びステップアップ!午後の部

2023年8月10日に、九州大学 にて開催された海の学びステップアップの発表です。

発表者:しばたみなみ氏(ペイントクリエーター)

発表概要

私はペイントクリエーターでアーティストです。環境問題をアートで伝える活動をしています。この作品は、黄色い体の部分は漁網です。ここにビーチクリーンで集めた海洋プラスチックを入れて作っています。このように、もとはごみだったものから作品を作っています。主に使っている素材は、海で拾った海洋プラスチックや漁網などの漂着物、もう一つは着古した衣類やお菓子のパッケージといった、家庭内から出た廃材です。いわゆるゴミですが、これらをアートとして新しい作品を作り、命に昇華する活動をしています。この活動はORINASU(オリナス)といい、日本にあるサキオリという技法と文化からインスピレーションを受けています。様々な素材を1つに織って成す、ということから名付けました。

この活動のきっかけは10年前、九州大学の近くの今津で行われるビーチクリーンのポスターを描いたことです。その時に初めてビーチクリーンに参加し、海ごみの山に衝撃を受けました。そこで清野先生と出会い、海に落ちているものが一概にゴミではなく、もしかしたら誰かの大事なものかもしれないので漂着物と呼ぶことを知りました。そして、この時初めて収集した、色も形も素材もかわいくて、捨てられず持ち帰った水色の漁具が、今の活動の始まりになっています。

海がきれいなのはあたりまえではなく、誰かがきれいにしてくれていることを知ってほしいという思いから、作品を作り始めました。これをきっかけにビーチクリーンを行い、素材も集めつつ、今津の海岸に足を運ぶようになり、「住みよい今津をつくる会」にも入れてもらい、地域の方とビーチクリーンをしたり、イベントをしたりしています。

今津とビーチクリーンをしてくださっている方への感謝の意味も込めて展示したのが「はじまりのくじら」です。今津で集めた漂着ごみや家庭から出た物で作りました。これを皮切りに、廃材や漂着物を使うことの意味、自分の中でのコンセプトが固まり、そこから本格的に作品を作り始めました。それからは、個人の制作、地域の方や小学生と工作教室を行い、外に向けた活動もしています。

うみつなぎの発足の際には、メンバーに入れていただき、アーティストとして伝えるという自分の役割を果たすと同時に、私自身の学びにもなっています。

ステップアップは1人では高さは決まっていますが、いろいろな人と出会うことで、身近なことへの興味を掘り下げて、知らないことを知り、世界を広げてくれます。皆さんにとっても、うみつなぎがそういう場所になってくれたらうれしいです。